成績が上がりにくい生徒の特徴として、話を聞いているようで聞いていないという共通点があります。「聞いているようで聞いていない」とはどういうことでしょうか?
社会人になって、おそらく最初に上司から注意されることの1つとして、「メモをきちんと取りなさい」という言葉があります。これは多くの学生がメモを取らずに行動しても、問題はないと無意識に思っているからです。
これは裏を返せば、無条件に自分の力を過信しているということでもあります。学校において、授業を真面目に聞いても分からないという生徒の声だけを考えると、自信がないだけのように見えます。しかし、同時に自分ではできないからこそ他人に頼るという「謙虚さ」を欠いていることも事実です。
より厳密にいえばスポーツでも勉強でも、その習得には「型」や「パターン」が存在するという事実をきちんと教わっていないということでもあります。野球ではフォームがあり、空手には型(かた)があります。どの世界でも、「我流」でやろうとする人間は成長しないという法則があります。勉強でもやはり同じです。
たとえば、数学を苦手とする生徒の共通点は、書いている例題の「手順」をほとんど見ないで解こうとする癖があります。これは自分でできるだろうという過信です。小学校の時は我流で正解がたくさん出せたというイメージがあり、周囲の人たちも「マル」であることを要求してきたかもしれません。ところが、数学での大半のケアレスミスは、このような我流による問題の解き方が強すぎる生徒です。計算に自信があり、暗算グセが強い生徒ほど、こういったエラーは目立ちます。
毎回解く際の書き方が定まらないということは何を意味するのでしょうか? 実は学習内容を「定着」をすることが難しくなります。勉強しても勉強しても成績が上がりにくい根本的要因の1つです。
勉強とは、まず第1に「型」の習得であり、やり方をそのまま真似るところからスタートします。応用と呼ばれるものはその「型」の延長にあるに過ぎません。
当塾の指導上では、「型」に沿って解き方を再現するように、またそれに沿って考えることをしているかどうかについて、かなり細かく言います。成績が伸びにくい、あるいは落ちている生徒については、すべてこの基本的な勉強法、すなわち型を見て、その通りに再現するというトレーニングを軽視しています。
この動きをしている限りにおいては、その時は正解が出せても、将来にわたって勉強の効率が必ず悪くなり、つまずきます。
ですから、基本的な姿勢として、この型を真似る、再現することは、どのような勉強においても、最も大事なスタートになります。
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