大手個別指導塾スタンダードの運営会社が民事再生手続きに入ったというニュースが飛び込んできました。徳島県でも、複数店舗をかまえる有名な個別指導塾です。
スタンダードそのものの経営や運営上の問題はさておき、個別指導塾における一つのターニングポイントにはなっているようには思われます。
個別指導塾スタンダードは、「直営校」だけの個別指導塾です。一方で、よく知られた個別指導塾の多くがフランチャイズという形式です。つまり、実際の経営は地元の企業が行っており、その多くがもともと「脱サラ」の方を引き込むものでした。実際の塾のある本社はビジネスモデルを提供し、素人の「脱サラ」の教室長・経営者でも、教育の部分を若い「大学生」にゆだね、お金を儲けることができるようにしました。
直営もフランチャイズも、内実としてはそれほど大きなサービスの違いはありません。ただスタンダードはかなりの低価格路線を取っていました。この点は、寿命を縮める大きな要因になったことは間違いありません。
ここ1・2年で他の個別指導塾は、料金として「値上げ」に踏み切り、より高い売上と利益を出すという戦略を取っています。もちろん物価高のこともありますが、より深刻なのは塾における先生の人材不足があります。
ただこのことは、スタンダードだけに問題があったわけではなく、個別指導塾全体に広がっていく「序章」にすぎません。
すでに地方では明らかに有能な責任者の人材は減少しており、大学生講師も不足し、サービスの質が大きく低下しています。それにもかかわらず、授業料のサービスはさらに高額になっていくという矛盾が生じています。
大学生中心のモデルは、少子化のあおりを受けて、大学生そのものが減少するため、さらに崩壊していくことが確定的な状況です。現在は、団塊世代の元教員らを活用している個別指導塾が増えていますが、ここから10年以内に一気に減少していきます。
上記の状況から、田舎のほうでは、個別指導塾という形態そのものは壊れることはありませんが、現在のフランチャイズ方式によるモデルを維持することは困難になるでしょう。
この崩壊の過程において、保護者のみなさんや子供たちが、塾選びの上でも、「被害者」になる可能性はあります。つまり、組織を維持するためには、一人あたりの売上を高く取るしかないので、必ず講習費なども高額な提案を追加することになってきます。
塾として経営が悪化しており、危険になっている兆候を見抜く方法をお伝えします。以下のポイントのうち、いくつか当てはまるものがあれば、塾の変更をご検討ください。
① 建物・看板・設備の老朽化がそのままで、全く改善されない
特に看板が劣化しているのを修繕できない、塾の机が剥がれてボロボロ、古いスリッパがたくさんある、壊れている椅子があるといった状況は経営が悪化している証拠です。お子様の学習環境すら改善できないレベルにあるとなると、サービスの低下を改善する資金がなくなっており、かなり危ない状況にあると言えます。
② 講師がコロコロ変わる、いなくなる
先生がコロコロ変わるのは学生が多いというだけでなく、退職が多い証拠です。組織内部が十分な労働環境をキープできていない可能性が高く、お子様に対するサービスも不安定になっています。また人材不足でスケジュール調整に混乱しており、しばしば講師変更を行っている可能性があります。
③ 教室責任者が常駐していない
教室責任者が不在である、かけもちであるというケースは確実に増えています。人材不足もありますが、社員の人件費が維持できず、やむを得ず、「かけもち」にしている可能性があります。この状況では当然、まともにお子様の授業を管理できません。曜日や時間帯によっては、まったく出会わないことも普通にあると言えます。
④ 周囲の知人や友人が退会しはじめている
塾の退会は自然現象とはいえ、それでも一定の限度はあります。保護者や生徒のみなさんの耳に入るレベルで「退会」があるとすると、実態としてはさらに多いかもしれません。何らかの理由は必ずありますので、その現象は予兆として取った方が良いでしょう。
⑤ キャンペーンがどんどん頻繁に、内容も高額になっている
紹介キャンペーン、講習割引キャンペーンなど、キャンペーンが頻繁になればなるほど、さらに高額になればなるほど、集客が必要であり、売上が厳しい証拠です。
もし責任者が「塾に行きたい友達いないの?」とよく聞いてくるなら、内部状況は深刻と言えます。講習割引は特に集客が不足していることを意味しています。本当に顧客が十分にいるのであれば、最も売上が立つ講習会において大幅な割引をする必要はありません。また内部サービスに満足度が高いのであれば、割引しなくても購買は十分にあるはずです。
⑥ 授業報告がない
上記のように売上が不足し始めると集客のほうにコストと労力をかける傾向が強まります。結果として、保護者の方へのコミュニケーションはどんどん弱まっていきがちです。特に報告書の記載が適当になったり、報告書そのものがなくなったりすることがあると、本来の説明されていたサービスだったとすれば、大きな質の低下を意味します。スタッフの意識低下が起こっており、また管理者もそれを指導しきれなくなっている状態です。
⑦ 高額な講習費の提案、授業追加の電話が多い
顕著な傾向として、必ず営業電話が増えます。お子様の状況報告や相談ではなく、こういった電話のほうが多くなります。売上が赤字傾向にあると、営業ノルマが厳しくなり、架電をすることをトップダウンで要求されます。講習の提案が急に高額になるのも、生徒数不足による売上不足を補うため、そのように命令されていると言えます。
上記が衰退している個別指導塾の兆候です。すべての個別指導塾がこのような状況にあるわけではないので、これからの時代は保護者の方の「見極め」が大事になってきます。
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