今回は個別指導塾を中心に月謝の考え方をお伝えします。大手の個別指導塾へ行って、信じられないお金を支払うことになって困ったというご相談もよく受けます。あらかじめ予算は正確に出しておきましょう。
※2023年2024年で、大きな値上げになっている個別指導塾が多いです
習い事すべてにおける費用は、年収の5%が理想と言われています。世帯年収で、以下のようなかたちになります。
ご家族の年収 × 0.05 = 習い事の安全ライン
↑12で割り算すると、1ヶ月あたりの目安が出てきます
一般に個別指導の時間は80分から90分が多くなります。月謝は昨今の物価高、円安などにより、価格上昇の傾向が強くなっているので、その点は注意が必要です。賃金上昇圧力により、今後も料金は1年あるいは2年でさらに上がっていくことも考えられます。
以下、よくあるご家庭の「誤算」をお伝えしながら、塾における正しい月謝の見方、聞き方のコツをお伝えします。
誤算① 毎月の授業料以外にもお金はかかることが多い
保護者世代には違和感があるかもしれませんが、今の個別指導塾の多くは、「施設管理費」や「教材費」が別にかかります。その他テスト費などを請求する場合もあります。
「施設管理費」がない、という塾の場合はいくつかの条件があります。自宅など教室スペースの経費(賃料)がかからない場所で行っていることです。メリットは施設管理費がないということですが、デメリットは塾の利用には制限があるということでもあります。また表記がなくても、授業料に含まれていることもあります。
「教材費」は、1教科につき、年間で本代の2、3千円のみというところから、年間1万円をこえることも珍しくはありません。数学だけでも年間1万円以上になりますから、もし週2回英語数学で通うと、2万円以上の教材費(本代)を支払う必要があります。
教材の仕入れをいいますと、高くても1冊2,000円程度(平均)といったところです。したがって、1教科で1万の金額を超えるには、5冊ぐらいの本を塾から配布されなければいけませんが、実際には配られません。このあたりはグレーゾーンになりがちです。
コピー代です、という話し方をする塾もありますが、テキスト教材のコピーは違法です。
本以外にコピーを大量にもらえる塾については、法的に大きな問題があります。近年は裁判なども増え厳しくなっておりますので、ご注意ください。
※ 当塾は教材会社と契約し、使用料を支払っております
参考URL 学習塾は著作物を自由に利用できない
「学校のテストを塾がコピーして生徒に配布するのは、著作権法違反の可能性が高い
誤算② 授業の季節講習費は、大半の塾が別料金になっている
授業料は月謝というかたちで一定の固定費のように感じるかもしれませんが、ほとんどの塾では春・夏・冬における講習費は別になっています。
つまり、月の予算が2万円まで出せると思われたとしても、実際には2万円以上のお金が必ず発生する場面が出てきます。
講習授業への参加は、「強制」に近い場合もあります。このあたりの方針や講習に参加しない場合は、どのようなフォローがあるのかに注意しておきましょう。
現実的には、講習会なしでは成績が厳しくなる生徒さんが多いです。月々の予算のなかに、こうした金額も想定しておくほうが良いでしょう。
誤算③ 年間の授業回数が少ない!?
ほとんどの個別指導塾では料金表が公開されていません。また同時に、授業回数が年間で何回なのかということも契約時まで説明がないことが多いと思います。
「塾って毎週ですよね」と思いがちですが、祝日もあれば年末年始などもあります。こうした年間カレンダーをどう調整しているのか注意が必要です。安い!と思いきや、月3回の時期もあります、ということも珍しくはありませんので事前に確認が必要です。
月謝のイメージを安く見せるために、こういう授業回数の操作を行うことは、塾のマーケティング手法として使われています。
誤算④ 学年が上がると高い!?
入会金無料や授業料1ヶ月無料といった、入り口のサービスは一般的です。どうせ通うならオトクなほうがいい!というのは誰もが思うことですが、将来的な費用も少しイメージしていただければと思います。
ほとんどの塾では学年ごとに料金が上がります。授業料や講習費はもちろんですが、教材費なども上がることがあります。特に家計のご負担が大きいのは中3になります。今が安いようでも、将来の料金までヒアリングしておくと良いでしょう。
このあたりはご年収の上がり方が予測できない場合、月謝が払えなくなり、肝心の受験期間において十分なサービスを受けられなくなります。事前に無理のないシミュレーションをしておきましょう。
誤算⑤ 自習スペースはあったほうがいいが、そこまで重要ではない
近年は個別指導が増えたことによって、自習室や自習スペースの需要が増えました。しかし、実際のところ自習室を活用するのは生徒全体のうち2~3割といったところです(本当に在籍生徒全員が自習室を使うと、環境はかなり悪化します)。原因は様々ですが、
自習室を使ってみたら周囲がうるさかった、
嫌いな同級生がいつも来ているので行きにくくなった、
けっこう虫が飛んでいて落ち着かない、
部活が忙しくなり行くのが面倒になった、
これらが実際によく聞く事例です。自習に行く=質問がたくさんできるというイメージでもありますが、実際には質問がたくさんできる生徒は、生徒全体の1割です。生徒ご本人が内向的な性格の場合、保護者のみなさんは質問をするという行動がお子様にとってハードルが高いと思ってあげてください。
自習スペースは、ほとんどの生徒にとって、定期テスト期間のみの利用です。定期テストも年に数回しかありません。図書館など別の場所があるのであれば、無理に塾の自習にこだわる理由はありません。
ただし、ご兄弟姉妹が年齢として幼く、保護者の方から統制が難しいために学習の妨げになるケースがあります。こうした場合は自習スペースの必要性があるかもしれません。
自習室は、普段から家で勉強している場合はより活用ができ、普段から家で勉強していない場合はあまり活用できないとお考えください。
場所の有無だけではやる気が持続することは難しいため、常に気にかけてもらえる人がいるかどうか、ということが大きな影響を持ちます。実際には塾の責任者によります。
上記を考えると、自習ブースの数や広さにはこだわらないほうがいいでしょう。家で勉強をする時間を完全になくすことはできない以上、最終的にはその原因を対処するということが本当の課題です。
「塾にいけば勉強できる→家では勉強できない」という状況のままでいきますと、もし体調不良で塾に行けなくなったら、何もできなくなってしまいます。部活が忙しい生徒には、普段から勉強するというクセができません。また、中3から高1に上がる際に、勉強量が大きく減りがちですが、家庭学習の習慣化ができていなかったことが原因です。
最初のうちは塾の自習ブースに頼ることはきっかけになります、その上で「家ではどうして勉強できないか」という原因についても、真剣に向き合うことが大切です。
つまり、勉強ができない原因は、「場所」ではないのです。
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