整理と対策は、徳島県の多くの中学校で配布される高校受験用の対策本です。解説と復習、受験対策まで幅広く収録されています。『新研究』という別の本が配布されることもありますが、基本的な考え方は同じです。
これを適切に使えるかどうかは、成績や合格を大きく左右します。
今回は「よくある誤った使い方」を3点伝えた上で、その後「正しい使い方」をお伝えします。
◯ 整理と対策 よくある誤った使い方
① 直接本に書き込んでいる
最後まで点数が伸び悩む傾向のある生徒には、ある共通点があります。整理と対策を徹底的に反復するという戦略がないまま、最初の1回目でそのまま書き込んでしまうことです。受験学習は、「できる/できない」という情報の整理を仕分け、またその上で「できない」ものを管理し続け、何度も突き詰めていくことの繰り返しです。1回目で書き込んでしまい、2回目、3回目を想定していないことは、受験学習において、時間の無駄を増やし、中3における成績の伸びを妨げます。
② なぜ間違えたのか、その答えになるのかを突き詰めていない
多くの場合、受験生になるまでの学習は「表面的」です。例えば、「素数とは何か」と聞かれて、その定義を明確に即答できる生徒はそう多くはありません。成績に苦労している場合は、「基本を徹底する」、「基礎は大事だ」と言われても、実際にその具体的な意味を自分で理解することは難しいことです。
ですから、整理と対策のような本を前にしたとき、その内容の多さや量を流すことに精一杯となり、答え合わせをしてそのままにしてしまいます。しかし、ゴールは間違えたものを間違えないようにすることです。したがって、ミスの原因を探し、自分の不足を補っていく努力が求められます。ここで妥協すると、穴だらけになってしまいます。
③ 何をもってOKとするのか基準が曖昧ではありませんか?
社会や理科では、解説ページがあると、それを見ながら答えを書きこんでいくことが自然になります。しかし、このまま学習を進めると、実際の実力とは異なって、正解が多くなります。教科書を見たり、調べたりしながら、勤勉に取り組む生徒もいるかもしれません。正解は増えますが、やはり「実力」とは異なる結果が出ることになります。
このまま進めても、集中するべきポイントを見失い、本当の課題に対する繰り返しが不足してしまいます。漠然とした範囲を学習し続けることになりますので、その後も時間を浪費しやすくなります。
◯ 整理と対策 正しい使い方
① 解説を見ないで解くことを徹底し、適切にマークをつける
原則としてノートに解きます。まずは解説なしで問題に取り組み、現状をはっきりさせるために「できる/できない」を仕分けることが大切です。
分からないことが多すぎる場合は、解説を理解したり、覚えたりしてから解きます。しかし、解説などを参考にした問題については、マークを変える必要があります。
よくある分け方のマークとしては、以下の通りです。
◯マーク 合格=二度とやる必要はない(正しい根拠/理由で、素早く正解した)
△マーク やり直し必要=正解したが根拠が違う、解説を見ながら正解、かなり悩んだ末に正解、正解しているがなぜ正解なのか分からないなど
✕ やり直し必要=間違えた、できなかった、分からなかった
蛍光ペンで色分けする方法などもあります。いずれにしても△にあたる部分を明確に記録することが重要です。その上では1周目は問題を解くことに時間をかけすぎないで、△や✕の原因を解消することに集中しましょう。
② 間違えた原因をノートに簡潔にまとめる
◯や✕をつける時に、「なぜ間違えたのかという理由を簡潔に書く」習慣をつけることはとても大事です。それが「計算ミス」という文字だったとしても、その記録が数問続くと、あとで考えるきっかけになります。
つまり、「なぜ計算ミスが多いのか」という問いが言葉になります。実際、計算ミス1つについても、様々な原因が混在しています。ところが、ただバツだけを書いていると、ノートを見直しても、何も分かりません。△や✕はただの記号なので、仕分けることには便利ではありますが、何のヒントも与えてくれないからです。
何を参考にしてもうまく「理由」を書けない場合、それは生徒のみなさんにとって、かなり大きな弱点になっている単元や問題だということになります。その単元にたいする基本の考え方に納得できていない可能性が高いため、丁寧に教科書を最初から何度も読み、1つ1つの小さな項目から理解しなおします。
また途中式など、考えた足跡を消しゴムで消すことは危険です。これを残すことは恥ずかしいかもしれませんが、自分が思い違いをしているポイントに気づくための大きな財産になります。
「失敗の数だけ、成長の機会を得られる」という考え方をもちましょう。したがって、たくさん✕があったほうが、それだけ生徒のみなさんが自分の成長につながる情報を増やすことができます。解いた鉛筆の後は必ず残し、その上から生徒のみなさんが理解し直したことを書き込むことで、正しい認識が記録されます。
③ 学習の計画や時間のコントロールを定期的に見直す(週1回)
上記の行動を、定期テストのような一時の勢いでは継続するのは難しいです。毎日の学習ページ、学習進度を記録し、それぞれページごとに対する1日の制限時間も決めてタイマーで測ります。自分にとって無理のない時間帯を決めた上で、集中することが大切です。
ゴールにするテスト範囲から単元数あるいはページ数を確認し、逆算します。つまり、試験日から残り日数を割り出し、1日あたりの計算をします。実力テストなどでうまく学習目標を区切っていくと、モチベーションは作りやすいです。
少なくとも「3周以上」を繰り返してはじめて定着します。1周目が一番きついです。基本をスムーズに引き出せるようになるまで繰り返すことをイメージしながら、肩の力を入れ過ぎないように。
「進度」がきわめて重要です。「ペンキ塗り」のように重ねていけばいいと考えておきましょう。1周目ですべてを理解し尽くそうとすると、挫折するかもしれません。完璧主義にならず、前に進むことが大事です。
また、部活の「メニュー」のように、10分でこの1ページを解くといった細かい行動を設定し、タイマーで必ず処理しましょう。
メリハリをもつことで集中しやすくなりますし、答えを出すまでの時間も得点力と大きな関係があります。特に暗記については、分からないものは分からないので、すぐに答えを判断します。△や✕を確認してから、手で隠して何度も覚え直す作業に時間をあてるほうが効率的です。
以上、簡単に整理と対策の使い方を整理しました。受験学習において、生徒が思っている以上に時間は相当に少ないです。
学校の宿題などを除いて、受験のために使う学習が1日平均1時間なら、1年で365時間、1科目に使えるのは73時間です。
つまり、1科目、ほぼ3日間ずつの配分になります。
この73時間(3日分ぐらい)で、3周以上の繰り返しをしますので、1周ごとに24時間がおおよその予算になります。
たとえば、社会は総合問題を除いても、34程度の単元があります。つまり、1つの単元がある数ページに対して、1時間も使うことはできません。現実的には1日30分程度で、毎日のノルマ、数ページをこなすように動きを厳密に決める必要があります。
もちろん上記は、少ない学習時間で行った場合の想定です。シミュレーションをしながら、自分のペースを定めていきましょう。2周目、3周目のほうがもちろんスピードも上がっていきます。
整理と対策の使い方を1週間ごとに見直し、自分に合った学習方法、スタイルをぜひ身につけてください!
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