世の中の学習、勉強のある「べき」姿としては、おそらく熱血、燃えるようなイメージを誰もが持っているものと思います。
そのなかで子どもたち、生徒がもつべき価値観として「やり抜く」ことこそが美徳であるということが当然とされます。
最近、アメリカ発のキーワードで「グリッド」(やり抜く力)という内容がビジネスを中心に広がり、最近は学習塾でも多用されるようになりました。以下の4つの要素の頭文字によって、成功者の資質は説明できるというものです。
・ 度胸(Guts):難しいことに挑戦し、逆境にくじけない
復元力(Resilience):たとえ挫折したとしても、そこから立ち上がる
自発性(Initiative):自発的にものごとに取り組む
執念(Tenacity):どのようなことがあっても目標に向かい、やりきる
まさに教育者が大好きなキーワードです。しかし、実際の教育が「与える」ものとしてこれらを強制的に行わせようとすると、途端にこれらは子どもたちの自主性を奪うリスクを抱えます。「自発性」を教えることと、親や教師が「関与する」ことはどうしても矛盾する側面があるということです。
いわゆるグリッドにあてはまるような学生の成功談が「ピックアップ」されがちですが、実際のところ100人に1人ぐらいの割合に近いといえます。したがって親がそれを子どもに当たり前のように求めてしまうことには大きな危険が伴います。
多くの場合、大人であるみなさんが、子どものときに盛り上がったこと、友人たちと熱狂したことをいろいろ思い起こしていただくとイメージしやすいかもしれません。少なくともそこに大人の干渉は限りなく少ない状況下にあった、あるいはあなた自身がハンドルを握っているという感覚を持っていたに違いありません。
小学校のプリントにおける丸つけのように、あなた自身の行動に対し、誰かがいちいち「バツ」を1つずつつけていき、ひたすら直しを強要するというような状況ではなかったと思うのです。
少なくとも私は現場において、特に小学生においてはグリッドとはある意味で真逆の現象を目の当たりにすることがよくあります。
それは適当にプリントを解いていたとしても、正しく失敗を重ねていくなら、勝手に子どもたちが自らの誤解を理解し、自己修正することが多いということです。考え方のフォローやアドバイスは必要になることがあるとはいえ、子どもたち自身で自己解決していける力が急に出てくる瞬間があります。
現実的に、九九の暗記ぐらいであれば、ある程度見直しが適当であっても、繰り返し回数が確保されていれば、自然にお子様自身の力でカイゼンしていくことが多いです。筆算ですら、子ども自身でエラーを解消することはよくあります。
ただし、この自己解決の力が発現するには条件があります。失敗していても、やみくもに口出しをしないこと、またエラーやマイナスについてくどくど言わずに軽く流しトライさせてみる、ということです。
したがって、「適当にやってみたら勉強が続くかもしれない」という表題の意味は、やみくもに干渉せずに生徒を励ますと、勉強は持続し、より向上する可能性があるということを意味します。
こういうお話をすると、現状のお子様がゲーム三昧、youtube三昧で、とても自分から勉強するとは思えないという声が聞こえそうです。ある意味で、勉強への関心を失ったお子様はそうなります。たださきほどのお話に戻りますが、自分でハンドルを握っていないということがそこにはあります。
どのように何を勉強するのか、どれくらい勉強するのか、あらゆる主導権や決定権がその生徒にないのだとすれば、この「自己解決の力が発現する条件」を満たしていないということになるでしょう。
さきほどの度胸や自発性といったものは、あるべき姿であるかもしれません。しかし、大人の視点では、あまりに性急であり、結論を急ぎすぎているのかもしれません。したがって、子どもをいくら叱っても納得していない、というズレが生じてしまいます。
それでは大人、親はどうすればいいのでしょうか?
やはり多くの場合、「待つ」しかありません。「やり抜く力」を教えることは、大人にたいする「忍耐」を要求します。自主性を失っているのであれば、保護者が期待しているよりも、何倍もの日数、年数がかかってきます。しかし、それほど自主性の力は時間がかかるからこそ、力があり、価値があります。
どのような成績である生徒であっても、3ヶ月、半年と経つにつれて、必ず着実に良い変化は起こります。大事なことは、その変化をきちんと見極めようとすることであり、またそれを生徒たちへ伝えてあげることなのかもしれません。
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