引用:「子どもの生活と学びに関する親子調査 2022」結果速報
問題です。受験生として最も良い成果を出すために、次のうちどれが優先順位が高いでしょうか?
① 学習方法
② 学習意欲
③ 学習時間
上の写真において、これらの「相関性」の数値があります。「相関性」というのは、ある項目とある項目の影響しあう関係の強さを数値化したものです。数値が大きいほど、影響が強いことを意味しています。
明らかに見て取れるのは、「学習方法」によるモチベーションや成績への影響の強さです。つまり、学習方法が良くなれば良くなるほど、モチベーションは良くなる可能性が高く、また成績が向上しやすいといえます。
逆にいうと、やる気がない場合、「学習方法」に問題がある可能性が高く、成績への影響としても、学習時間の少なさ以上に、まずは学習方法を改善することが効果的と言えそうです。
ここでいう「学習方法」というのは、簡単にいえば自分に合った効率的な学習法です。
効率的な学習というのは、①楽に、②簡単に、③楽しくできることを意味します。もちろんその上で成績が上がっていく方法を意味します。
受験生としての学習方法について、3つの原則だけお伝えします。
(1) 多くの生徒が「基礎」を無意識に軽視している
1つ目は、学習方法として、苦手な科目ほど無意識に避けていることがあります。それは問題や解説をあまり理解していないまま解く、あるいは分からないのでそのまま答えを書いて放置してしまうことです。
例題
135にできるだけ小さい自然数をかけて,ある整数の平方にしたい。どんな数をかければよいか。また,その結果はどんな数の平方になるか。
このような問題を苦手にする生徒さんが多いですが、計算そのものは難易度が高いものでありません。ここで生徒が困っているのは、自然数・整数・平方といった言葉の意味を理解していないことにあります。
ここで仮に先生からじっくり教えてもらったとしても、生徒たちはすぐに忘れてしまうでしょう。なぜなら基礎を無意識に軽んじているため、心の底では理解し覚える必要があるとは思っていないからです。その証拠として、こういったことを話していても、メモをする生徒はいません。しかし、自分の口でこれが説明できるようになることが基礎を身につけるということなのです。
学習方法として、常に基礎を軽んじずに何度も確認する癖をつける必要があります。主には言葉の1つ1つまできちんと調べ、理解しようとすることは、すべての学びにおいて大事な原則になります。
(2) 自分の口で説明する
勉強は「分かる」ようになることですが、より正しく言うと自分の口で説明することができるということです。
解いた問題や調べたこと、聞いたことについて、自分で言葉にするということは、とても大切です。アウトプットとも言われます。
たとえば、学校で1時間目数学を終えたとします。その時に1分で今日の授業のポイントは何だったかと自分でノートに書き留めるようにしてみるとします。これ1つだけでもアウトプットになります。
自分の口で説明するためには、人から話を聞くにも、教科書を読むにも前向きに取り組まなければできません。伝えるためには、より細かく理解している必要もあります。したがって、自分の口で説明するアウトプットには絶大な定着効果があります。
ただ生徒によって性格は異なり、声に出すことが苦手な子もいます。何も見ないでノートに書き出してみるということでも同じ効果があります。大切なことは、自分の言葉に出してみて、その上で不足している情報を見直し、修正することです。
学習方法としての原則は、何かを受け取ったら必ず外に出す(自分の口で説明する)ということになります。これは1分ぐらいの短時間でも行えますし、勉強に関係のないことでも練習ができます。
部活動でコーチからいろんなアドバイスを受けたあと、自分でそのポイントをまとめてみます。はじめはうまく書けないかもしれませんが、そのうち書き方を自然に修正していけるようになります。
ぜひアウトプットを習慣化しておきましょう。
(3) 「分解」して考え、つまずきを対処する
同じ問題を考えても考えても分からない、できるようになっていたはずの問題ができなくなってしまう、ということがよくあるかもしれません。
こういう場合、アプローチ(問題への向き合い方)がずれている可能性があります。
さきほどの数学の問題で考えてみましょう。
例題
135にできるだけ小さい自然数をかけて,ある整数の平方にしたい。どんな数をかければよいか。また,その結果はどんな数の平方になるか。
解き方だけでいえば、素因数分解して考えるという「やり方」で終わります。ただ本当の課題は「やり方」ではなく、そもそも問題文の意味が分かっていないということです。ここを無視してしまうと、類題では解けないかもしれません。それは、根本的な意味を理解していないためです。
まず、問題を見て「分解」をします。問題文中の分かる内容と分からない内容を分けて、明確にします。ここでは「ある整数の平方」「どんな数の平方」という言葉が分からないとします。ここで調べる必要があるのは、「整数とは何か」、「平方とは何か」という2つにさらに分解します。その上で調べて明確にします。
これらで調べていった上で、さきほどの(2)自分の口で説明できるかを試します。そこでうまくいけそうなら、素因数分解をして問題を解くプロセス(解説)を読み、自分の手で解いてみます。なぜそうなるか腹落ちできれば、いったんはそこでOKです。ただここでもまたつまずくかもしれません、「素数とは何?」、「なぜ素因数分解をするの?」、「素因数分解をする理由は何なの?」といったことです。
こうしたかたちで分解していくと、どんどん分からないポイントが分解されていきます。もちろんここには時間の限界があります、ですが実際にはそれだけ分からないことが放置されているということでもあります。学習は、こうした分からないことを「分解」し、つまずきを見つけ、それを対処することです。
また調べ方については教科書の「索引」をまず活用できるようにしましょう(教科書の最後にあります)。たとえば、「素数」と数学の教科書で調べると、◯ページ、△ページと記載があります。そこを開けると、それに関する内容がすぐに出てきます。
応用問題は多くの場合、単元の中にあるこうしたポイントを重ね合わせたものにすぎません。したがって、重なる複数のポイントの中でつまずきがあります。それを見つけるには、きちんと「分解」して、そのつまずきを対処するようにします。
以上で3つの原則をお伝えしました。この原則に沿った上で、何をどのように使い、どれくらい時間を使うかを見直しましょう。
どういったノートを使うか、どういった色ペンや付箋を使うかといったことは、ある程度は自由です。情報を分解し、分からないことに蛍光ペンを引くとか、そういったルールは統一して行いましょう。
情報の「整理整頓」は、受験においては特に大切になりますので、どこが間違えたか、何を間違えたか、分解して何がつまずきだったのか、ということを区別していくことを前提に、今のノートやペンの使い方を見直していきましょう。
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